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演劇とセルフコンパッション

セルフコンパッションという言葉をご存知ですか?

 

セルフコンパッションとは、マインドフルネスと相互関係にあって自分への思いやりを持とうという発想から生まれた言葉です。

意味としては、「自分のわるいところだけではなくいいところにも気づいて、自分に対して優しく温かい気持ちを持っている」心の状態のことです。

さらに言うと、共通の人間性の認識があること。これは、苦しいのは自分だけという孤独感の逆で、人間である以上は誰しも共通してあるという認識。

 

セルフコンパッションの効用は、ストレスが軽減して幸福感が高まり、レジリエンス(再起力)も高まるということが挙げられます。

 

セルフコンパッションの高め方には慈悲の瞑想、というものが有名なので興味がある方はぜひお調べになってみてください。(本当に有名な方法なので参考資料は巷に溢れています)

 

セルフコンパッションと演劇の共通する点は、特にマインドフルネスにあります。

演劇では無意識の意識化といって「普段無意識でやっていることを意識化で行う」実践をします。演劇は毎テイク演技が変わってしまうと舞台も映像も成り立ちませんからある程度再現性を求めるからです。

この時に大切なのが感情の過剰同一視をしないこと。それをしてしまうと、感情に支配されて混乱してしまいます。

 

なので、自分の状態に敏感さを持って気づくリラクゼーションを行います。(五感の集中)

 

自分の身体と心に気づくと、不思議と心は落ち着き程よい集中状態に入って自己を俯瞰して観察できるようになります。リラックスしているのに気分は晴れやかで、エネルギーに満ち満ちている状態です。その状態がパフォーマンスをするのに最適。

 

セルフコンパッションを知った時に、「これは演劇でもやっていることだ!」と確信しました。

 

 

 

ただ、ここからが本題。

 

少し筆者の体験談を交えるのですが、お付き合いいただければ幸いです。

演劇で人と関わって摩擦が生じても(例えば悲しい喧嘩別れのシーン)NOダメージなのです。

 

でも、演劇の外(実社会)だとダメージを受けまくってしまいます。元気な時なら否定の言葉を聞き流せるんですが、自分の精神状態や相手によっては本当に辛い。

昔は辛すぎてどこにも居場所がないとまで思って絶望していました。

その絶望を乗り越えるべく「元気で社交的で明るい私」を演じるよう常に努め始めた時期があったのですが、その頃は成功体験をたくさんしました。

ですが代償として「自分の気持ちがよくわからない状態」になってしまったので危機を感じ、やめました。

素のままの自分でいるようにしてみました。

 

でも案の定、丸裸で人と接するとダメージでズタズタに。

 

理想的な自分を演じるとピエロ状態になって良くないし、だからといって丸裸はボロボロになるし。

じゃあ一体どうすればいいんだ!?

 

その答えが、演劇とセルフコンパッションの共通点にありました。

先ほど「丸裸でズタズタになった」と表現しましたが、演劇はまさに「心を丸裸にする」こと・・・さらけ出すことを求められます。

なお、対極とも言える”顔は笑って心は泣いてるピエロの演技”は形だけの演技で、(演劇では紋切り型と言われます)癖になるからすぐやめなさいと師に教えていただきました。

 

演劇では丸裸なのになぜNOダメージなんだろうか。

 

 

 

それは、「役」がいるからです。

「役」は自分の一部であって、違う人生を生きている他人でもあります。

「役」を借りることで、自分と別個の存在として切り分けながらその人の人生の一コマを生きながら自分が言いたいことややりたいことが自然と発露されるのが演技をする大きな魅力のひとつです。

「役」を演じているのは自分なので結局自分なんですが、でも自分じゃない。不思議でおもしろい感覚です。

 

演劇の中で大きな感情のうねりを味わうことがありますが、その時ですら冷静な自分がいます。

感覚的なお話になりますが、「役」の人が悲しいと「いろいろ辛い思いをしたね。がんばったね。」と冷静な私が労ってあげたり、「役」の人が嬉しいと「いいね!良かったね!幸せだねぇ。周りの人たち、この人を受け入れてくれてありがとうね。」と同調することがあります。もちろん、すべて自分の脳内です。

 

これはセルフコンパッションじゃないか。

演劇は「役」の人と演じている自分と舞台上にいる他の役の人(及びその演者)が一堂に会する場所です。

演劇はセルフコンパッションの実践の場になるのかもしれないわけです。

 

 

となると、実社会でもこの技術を応用すれば、過去の筆者のように「理想の私を演じても辛いし素のままの自分でも辛い」方にとっては

演劇って非常に意味のあることになるのではないだろうか。

 

演劇は生きる練習と呼ばれています。

演じることは生きること。

 

筆者は、人生の上手な生き方はまだまだ勉強中ですが演じ方ならわかります。

過去の記事にたくさん演じ方について書き溜めてきていますので、もしご興味ある方はお読みいただければと思います。

 

 

 

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