
演劇は舞台だけじゃない
演劇=舞台のイメージを払拭したい
演劇ってどんなイメージがありますか?ミュージカル?映画?アドリブ寸劇?
筆者が自身の事業を説明する際に、必ず訊かれることがあります。
「演劇って舞台をやるんですか?」
「劇団みたいな感じですか?」
「養成所ですか?」
ENTRY ACTは演劇ワークショップを開催している事業所で、筆者は経営をしながらワークショップファシリテーターを仕事としています。
ENTRY ACTとして金融機関等と取引をする際や、筆者がプライベートの場で自身の職業を説明する際に必ず上記のような質問をされます。
もう慣れっこなので、最初から
「大人向け・社会人向けの演劇ワークショップを開催していて、自分が先生として現場に出ています」
とお話をするようにしています。そうすると、
「えっ!?そういうのがあるんですね!?知りませんでした・・!」と驚かれるので、演劇の認知を広めるためにがんばらなきゃなぁと思わされます・・。
演劇は舞台芸術の側面もありますが、コミュニケーショントレーニングの要素やゲームなど非常に幅の広い汎用性の高い分野です。
筆者は人が集まってシアターゲームを楽しむことも演劇だと思っているし、台本を覚えて劇をやることだけが演劇のゴールではないと考えています。
(シアターゲームは頭の体操をしたりアイスブレークになるエクササイズのことで、「わたし、あなた」「ピンポンパンゲーム」「たけのこにょっき」など様々あります。子どもの頃休み時間に遊んでいた「あんたがたどこさ」のようなもので、誰もが取り組める手軽さがありつつ盛り上がって咄嗟のときの対応力や集中力を養ったりチームビルディングの一助になるなどたいへん意義のある遊びです。)
全部、演劇。
人が集まって共同作業を行うことのすべてが演劇です。汎用性の高さ故に理解されにくいのが玉に瑕(笑)ですが、集まって一つの目標に向かって協力していく楽しさを知ること自体が演劇で、演劇を体験すると「どうしたら人と分かり合えるのか?」「どうしたら他者とうまくやれるのか?」「チームに貢献するために自分ができることは何か?」を自然と考えることになるので、自己理解・他者理解が進み社会的スキルの向上という素敵なおみやげがあるから、演劇っていいですよ!と声を大にして申し上げています。
台本演技とか即興劇とかシアターゲームとか、やってる内容自体は本質ではなくて、やっている内容がなんであれ一番大切なことは共同作業を楽しむってこと。
演劇のコアにあるものは舞台じゃありません。それは側の話であって、本質的な話じゃない。
演劇のコアはこういったものです。
①共同作業を楽しむこと。
②他者をリスペクトすること。
③今自分が置かれた状況を楽しもうとする創意工夫。
演劇は舞台じゃないといけないというこだわりが強い風潮がありますが、形にこだわらなくていいのではないか?筆者はそう考えています。ゲームを楽しむことだって①②③を満たしています。ワークがどれこれという目に見える次元の話じゃなくて、そこにある熱気や活気といった盛り上がりが大事だし、互いに尊重し合うあたたかくて受け入れ合える優しい空気が大事。
台本ワークにこだわる傾向の強い人ほど他のワークに価値を感じないと言います。それは側の話だなぁと筆者は常々感じます。
経験が長いから台本が好きになるのではないか?と言われたことがありますが、筆者はそうは思いません。それは演劇のゴールは舞台であるという思い込み・刷り込みです。
こだわりがあるのは良いのですが、それを伝えてコントロールしたいのだろうなと感じることがあるのでコミュニケーションの基礎練習が必要なのでは・・?と。(他人はコントロールできない)
逆に、即興やゲームをおもしろがる方は台本も楽しめる方が多いです。取り組むひとつひとつのワークに対してポジティブな傾向があります。
演劇は舞台がゴール?
それは本質から外れた話で、どんな形であれ共同作業をする楽しさを味わうことすべてが演劇です。
つまり人が生きるということ自体が演劇です。
演劇ワークショップが「特別」なのは、日常で意識することのないレベルでコミュニケーションを意識する場所だからです。
人と一緒に何かをする・協力する楽しみ喜びをこれでもかと味わえる場所だからです。
遊びの内容が何であるかより、誰とやるかが大事なんです。