批判や否定に負けない心づくり
前回の記事に引き続き、他者から批判や否定の言葉を投げかけられた時に負けないようにするには?という内容で書いていきます。(前回の記事はこちら→https://entryact.jp/column/4619)
否定してくる他者が自分にとって信頼のおける相手の場合には心のガードを下ろしているので、ダメージは大きくなりがちです。
「あなたのやっていること好きじゃない」「あなたは間違っている」・・・
身近な人だから、痛い言葉。
筆者の体験談を交えてお話しします。
筆者は上のような言葉を繰り返しかけられ、次第に「自分が間違っているのではないか」と考えるようになりました。そして、否定の言葉をありがたく受け取って自分を正さないといけないと思い込むようになりました。
そして、その人が言うところの正しさを探し始めました。
ですが、その人にアドバイスを求めても明確な回答が無いし(「まぁ自分が思っただけだから気にしなくていいんじゃない」「なんとなく好きじゃない、合わないんだよね」的な回答)
今だからわかりますが他者の価値観に全て従属することは不可能にも関わらず、果てしない「正解探しの旅」に出て自分が好きなことや興味関心、自分の目的が曇って見えなくなってしまいました。
それでもまだ諦めないで、これはむしろ成長のチャンス!とばかりに躍起になっていました。
これだけならまだ全然意志の炎が燃え尽きることはなかったのですが・・・急に体の調子が悪くなり、病院に通うはめに。(診断は腸炎でした)
心は明らかに悲鳴をあげていたのに、そのサインを見逃してしまったということです。
心理学においては精神的不調が身体的健康を阻害することは明白で、予防の大切さを身を以て知った出来事です。
という体験もあり、ぜひこの記事をお読みのみなさまには予防していただきたいと強くお伝えします。
否定や批判を向けられてそれに従属する姿勢は、明らかに自分に負荷をかけています。
否定批判に影響され過ぎてしまう原因の一つとして、
イラショナルビリーフ(不合理な真実)が挙げられます。
それはいわば思い込みで、その代表例の一つが「自己期待」と言います。自分は完璧でなければならないという思い込みです。
否定批判は不都合です。だから、その不都合な現実を打ち消すために自分をおざなりにしてでも高い評価を得ようと躍起になる。
ただ、イラショナルビリーフは”破滅的”で”柔軟性がなく””批判的”な特性を持っています。
「〜でなければならない」「〜すべき」思考です。
なので、ラショナルビリーフへの転換を行います。(ABC理論と言います)
Aという刺激がCの反応を直接起こしているのではなく、B(ビリーフ)を介在しているので
自分の持つビリーフ(B)に反論(D)し、合理的な思考(E)へと誘うわけです。
否定批判に対しては、「誰々にこう思われたことは不都合ではあるが、だからと言って自分の価値が下げられたわけではないし自分が従属しなければならないわけではない」
「〜であるにこしたことはない」ぐらいに合理的に捉えます。
否定批判はされないにこしたことはないですが、されちゃいけないわけでもありません。
否定批判は真摯に受け入れ行動変化するべきじゃないか?そのほうが柔軟性がありそう?
と思われたかもしれませんが、従属することと柔軟性があることは異なります。
不合理な真実から解放されたら、セルフコンパッションを取り入れてみるのがいいです。
セルフコンパッションとマインドフルネスは両輪と言われていて、自分への思いやりを持つことなのですが正確には「自分のいいところもわるいところも受け入れて自分に優しく温かい感情を高めていく」ことです。
特に、否定的で批判的な人と接していると私たちは鬱な気持ちになって自分にも周りにも八つ当たり的な行動をとったり否定的な感情に支配されて混乱してしまいがちです。(感情の過剰同一視)
なので、自分が欲求不満な状態であることに気づいて(マインドフルネス)、冷静さと温かさを持って自分と接してあげるようにする。
感情の過剰同一視を防ぐこと=マインドフルネスは、演劇の立場から言うと「演じている状態」に近しいものです。
演劇では無意識の意識化が大切にされていて、日常で無意識レベルで行なっていることを意識的に行い、反応(感情)を客観的目線で観察しながらテイクを繰り返し適切な行動を導き出す学習を行なっています。
演劇の場は人生のリハーサルなので、実生活でも学習成果を活かすことができます。
演劇とセルフコンパッションについては長くなるのでまた次の記事で書くことにします。
最後になりますが、
セルフコンパッションはレジリエンス(再起力)を高める効用があるので、これからまた否定批判の言葉を受けても、たとえ困難な状況に立たされても、それを跳ね返して精神的ダメージから回復できるようになります。
ぜひ、否定批判の言葉に負けず自分の信じるところに従って歩んでいってください。
自分には、いつも自分という最強の応援団長がついています。大丈夫!